ほくベジの畑は今年の3月後半から土作りをはじめた、まだ歴史の浅い畑です。
発酵型の土壌を作り始めて3ヶ月ほど、大きく畑の状況が変わり始めました。4月の上旬に植えたじゃがいもを収穫していたのですが、病気で早々に枯れてしまったじゃがいもの株を掘り起こしてみると↓のようなじゃがいもが出てきました。

普通ならこういう痛んだイモは、ベチョベチョになって、強烈なニオイ(牛のフンみたいなニオイ?)を放ちます。要はじゃがいものデンプンが腐って異臭を放つわけです。
しかし、このじゃがいもは臭くないし、白い菌糸がまとわりついています。臭ってみるとワイン?のようなアルコール臭がします。どうやら、腐ったのではなく酵母菌により発酵分解されて、じゃがいもの糖分がアルコールへと変化しているようなのです。もしかしたら、デンプンに麹菌のようなものがついて糖に変化し、さらに酵母菌によりアルコールへと変化しているのかも?
なにが起こっているのか詳しくはわかりませんが、間違いなくアルコール臭がするので先程説明したような微生物による作用が起こっているのは確実です。
腐敗と発酵の違いをよく知らないという人のために簡単に解説すると、腐敗は人間にとって有害な微生物の生産物で、発酵は人間にとって有用な微生物の生産物と区別されています。もっと簡単にいうと、腐敗は臭くて、発酵はいい匂いと感じます。腐敗をクサイと感じて、発酵をいい匂いと感じるのは、人間が食べられるかどうか判別しつづけて今日まで生き続け、自然と獲得した能力なんだろうなと、僕は思っています。

枯れてしまった株はそこそこあったので、あちこちの痛んだイモを嗅ぎ比べしてみたんですが、アルコール臭のするもの、酸っぱいニオイ(乳酸菌分解?)がするもの、腐ったニオイのするもの、いろんなニオイが入り混じったものと、様々でした。
畑のその場所その場所の環境に最適な土着の微生物が繁殖した結果、上記のようなニオイの差になって現れたんだと考えています。これだけ発酵型に傾いたのは今年の雨の少なさも手伝っているかもしれませんが…。いずれは腐ったニオイのするものがゼロになるような、発酵型の土を作りたいなと思っています。
ちなみにじゃがいもはウォッカの原料で、立派なアルコールの原料です。日本でも北海道ではじゃがいも焼酎なるものが製造されているとか。お酒は純粋培養みたいな感じで、畑の中でアルコールを醸造しようとは思いませんが、そういった環境を作れたら面白いですよね。
もうひとつ言わせていただくと、一般的な畑では発酵型の微生物の数が少ないため、痛んだじゃがいもからアルコール臭がする…なんてことはあまりないと思います。家庭菜園で栽培した方ならあの種芋が腐ったニオイの印象って残ってるんじゃないでしょうか。
普通ならイモが傷んでいるとテンションが下がりますが、変化の現れにテンションが上ってしまったという話です(笑)